春が2階から降ってきて物語は始まった。
「春」は「私」=泉水の弟の名前。
その弟が「2階から降ってきた。」という過去のとある思い出ばなし・・・というか事件か(?)
泉水と春は半分しか血のつながりはなく、というのも父親が違うからで、その父親というのは⇒レイプ犯。
普通は・・・普通だったらサ。え〜っと・・・普通はどうするんだろう?
そもそも「普通は」と口走ってしまう その「普通」ってなんだかよくわかんなくなってきたけど、レイプ犯の子供だからって堕ろされちゃう気がする。
ちょっと焦点がズレてるかもしれないけど、この独特のキャラ設定に、ものすごく心が鷲掴み状態に。なんだ?なんだ??
母親っていうのは元モデルで、父親は市役所勤務。
泉水が先に生まれていて、ごくごく幸せそうな家族に突如として起きた事件。
そんでもって、授かった命。
父親は妻から報告を受け、神にたずねる。神が答える⇒「自分で考えろ!」
このクダリに思わず「っ!?」正しい日本語かわからないけど、「ぎゃふん」ってこういう時に出るんだろな。
そうなのだよ。都合のイイ時ばかり神に頼るなかれ。
そして瞬時に父親が決意する。「産んでくれ」と。
前置きが長すぎた。その後もこの父のエピソードは出てくる。とにかくすごい父親だ。母親もなかなか。
伊坂氏もこんなところに着目する読者がいると思って・・・・・るかな笑
思ってるよね ^ー^;
物語はまるで短編集のようなつくりになっていて、初めは「あ、コレ、同じ登場人物を使っていくのね」と思った。
ちゃうちゃう笑 ひとつの物語やん〜。てな。
春は絵がとてもうまい。両親はてんでダメ、泉水もダメ。
小学生の頃、描いた絵が賞をとり、県庁に表彰を受けた絵を見に行ったエピソード「ピカソ」が、小気味イイ。
もっとも好きなエピソードでもある。
それから泉水と春の兄弟関係が、ものすごくイイ。
春は兄をお守りのような存在に思い、また泉水は弟を見守る。
時に捲くし立てられる兄。これもまたイイ笑
グラフティーアートと呼ばれる、いわゆる「街の落書き」と放火事件を表向きの軸に物語は進み、あっという間に終結した。
中盤はまるで推理小説のようで、あまりにも読み急ぐあまり、よく読めばまだまだ面白いところがあったのかもしれないが、ともかく先が読みたくなる展開に 手元が狂ってしまった。
物語の最後は、始まりと同じクダリに重なったけれど、
この家族はバラバラになった。
すごく絆を感じる家族だったのに、なんだか終盤の春は「そのため」だけに生きていたの?と切なくなった。
この兄弟もすごいけど、両親もすごい。
特に父さん。あなたスッゴイです!
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